黄色の日常

だいたい楽しい

本を読んだのでブログを書いた

"愛されなくても別に"を読んだ

シゲが直木賞にノミネートされてから同時にノミネートされている本を少しずつ読んでいる

電子書籍はほんとに便利で一瞬で手元に書籍が手に入り本は好きでも本を読むのを先延ばしにする理由の1つである重いので体を起こしておかなければいけない(横になっては読めない)という点も簡単に解消してくれる

お風呂でページがふやける心配もなく手元にペンが無くてもラインが引けて書き込みまでできる

その便利さを分かっていた

分かっていたからこそ手を出したら沼だと思っていた

だけどこの機会についに手を出したのだ

まーーーーーーー楽よね

読もうとしてダウンロードしている書籍が既にスマホの中に積まれている

次はどれを読もうかなとワクワクしています

 

そんなわけでちょこちょこ本を読み夜中に"愛されなくても別に"を読み終わった

面白かった

ほんとに面白くてまだ半分しか読んでいない段階ではこの内容に面白いという感想を持つことはいいのだろうか?と不安になったりしたけれど不安になったりするぐらいこの本に呑まれていたし最後まで読んだ今面白いという感想を持つだろそりゃってぐらい面白かった

 

愛されなくても別にを読む前に"推し、燃ゆ"の話をしたい

2ヶ月ほど前推し、燃ゆを読み終えた

ある日突然推しが炎上する

私は自身もアイドルが(NEWSが)好きなので読まなければと思ってまずこの本を読んだ

多くを語る必要は無いので省略するが推しの炎上は経験しているしなおさら読まなければと思わされた

推し、燃ゆでとにかく感じたことは主人公のSNSは面白いだろうし多分チェックするけど絶対に仲良くはなりたくないタイプ

ということだった

ずっとあー仲良くはなりたくないなこの子と思いながら読んでいたし最終的にもやっぱり仲良くなりたくないなと思った

だけどこの子の気持ちがわからないわけではない

 

"推しがいなくなったらあたしは本当に、生きていけなくなる。あたしはあたしをあたしだと認められなくなる。"

"すべての写真は、ある意味遺影のようでもあると思った。"

"もう追えない。アイドルでなくなった彼をいつまでも見て、解釈し続けることはできない。推しは人になった。"

"一生涯かけて推したかった。"

 

これらの文章に似た言葉をこの1年近くでどれほど見ただろう

痛いほどわかるんだこういう気持ちを持つことが

読み終えたあの頃も、そして今も

 

そしてもう1つずっと頭に残っている文章がある

"推しは、いつか引退したり、卒業したり、あるいはつかまったりして急にいなくなる。バンドメンバーなんかになると突然亡くなったり失踪することもあるらしい。"

という文章だ

私はそもそもアイドルを好きになるより前からいろんなバンドが好きな人間だ

だから好きなバンドのメンバーが亡くなった経験も失踪した経験もある

だけどファンでもない人からするとそれは"あるらしい"という言葉で片付いてしまう

それを改めて突きつけられた

 

そんなわけで"推し、燃ゆ"を読んだ人間が"愛されなくても別に"を読んだ

 

愛されなくても別には宮田、江永、木村という3人の人間とその親、いわゆる毒親との話なわけだけど

推し、燃ゆを読んだ私が話したいのは木村のことである

彼女はあまりにも過保護な親を持つ裕福な家庭の子だ

親から逃れようと遠く離れた大学へ進学する

学費も家賃も親が払ってくれるし仕送りももらっている

ここまではまあいるよねそういう子も別にってぐらいだが

2時間おきに母親から電話がかかってくるし出れないと警察を呼ばれたりする

鹿児島から毎週飛行機で娘のところにやってくる

娘が変な男に捕まって婚期を逃さないか心配で勝手に結婚相談所に登録するなどなどほんとに過干渉である

そんな木村が行き着いたのは宗教だった

騙されてる木村を救ったつもりの宮田が木村にかけられる言葉がいちいち胸に刺さる

 

 

"分かってたよ、騙されてたことは"

"騙されてても良かったの。私にとってあそこは、自分になれる唯一の場所だったから"

 

 

この2つのセリフが重く重くのしかかってくる

アイドルを応援しているとスキャンダルがあると外野に言われるのだ

"現実を見ろ"とか"騙されてる"と

直接言われたことがある人も少なくないだろうしネットでは不特定多数の人に向けてそういう言葉が飛び交う

だからこそこの2つのセリフはすごく重みを感じた

推し、燃ゆでもそうだ"こんな奴のライブ行くなんて馬鹿信者"など言われる

だけどそれでも"私にとってあそこは、自分になれる唯一の場所"なのだ

宗教を趣味に置き換えるだけで木村のことを考えるととてもツラい

宮田のやったことは一体何だったのだろう

 

私は愛されなくても別には今読むべき本であると自信を持って言い切ることができる

このコロナ禍誰が悪いわけじゃない、みんな我慢してみんな頑張って

"私の方が"なんてほんとは無い。だから木村の

 

"不幸って、他人と比較できることじゃないじゃん。私が宮田さんより不幸じゃなかったら、私は、文句を言っちゃいけないの。

皆我慢してる、皆頑張ってる。それが何?私だって我慢してる、私だって頑張ってる"

 

というセリフが一段と胸に突き刺さるし

 

"私達にとって、オリンピックより今日の生活の方がよっぽど重要だ。今日を生き抜くことが出来なければ、未来を夢見ることすらできない"

"世の中には娯楽や嗜好品が溢れていて、それらのほとんどは生活に不可欠というわけではない。ピザやラーメン、本や映画が無くなっても、世界はきっと回っていくだろう。だけどそれでも、あったら嬉しいの気持ちは世界には不可欠だと思う"

 

という2つの文章は今だからこそ響く

今、愛されなくても別にをまだ読んでいない人には読んでほしいなと思う

"愛されなくても別に"は愛されなくても別になのだ

"読むことによって救われる人はきっといる"とシゲは言ったけれどまさにそうで途中まで面白いと思っていいのだろうかとすら思っていたのに読み終わると心はどこか軽くなっていてこの本が好きだなという気持ちになる

 

私はこの本をスマホの中にダウンロードするだけでなく本棚に並べたいです